施工管理とは?働くメリットや年収、必要な資格など徹底解説【2023年最新】

脱炭素社会の実現に向けてますます成長が期待される再生可能エネルギー業界。太陽光や風力、地熱、バイオマスなどの自然電力を利用したプラント(発電所)の建設件数も増えており、建設工事の現場監督を行う職種である施工管理への需要も高まっています。

建設業や工事現場の施工管理という仕事に対して体力的にきついというイメージを持つ方も多いかもしれませんが、2018年に国土交通省が導入した「建設業働き方改革加速化プログラミング」などの政策や慢性的な人材不足の緩和への取り組みによって労働環境や待遇の改革が進んでいることも事実です。

今回は、施工管理の具体的な仕事内容4つと働くメリット、必要なスキルや資格、年収などについて詳しく解説します。

 

施工管理とは?

施工管理は、建設工事の現場監督として工事全体の管理をする仕事で、工事が安全かつ効率的に行われるように進める責任を持ちます。

具体的な施工管理の仕事は以下の4つです。

 

1.原価管理

建設現場における人件費や材料費の原価を計算し、進捗状況に合わせて予算内に収めるように管理します。予算との差異が生じた場合には、原因を分析した上で計画や工程を見直し、軌道修正します。

 

2.工程管理

工期までに建物を完成させるためのスケジュール管理を行います。設計図通りの建設が予算内で安全に施工できるように工法を計画し、重機手配や作業員の配置を行います。施工開始後は、工程表通りに円滑に工事が進んでいるかを管理します。工事の規模が大きいほど作業員や資材の数も増え、スケジュールも複雑になるため、高度な知識や経験が求められます。

 

3.品質管理

建設工事に必要となる材料の寸法や品質が設計図書や仕様書にある規格を満たしているかを管理し、経済的に設計するため業務です。品質評価の対象項目をテストによって確認し、長期的な品質の良さを確保することを目指します。また、完成時の建物の強度や密度が規定を満たしているかを管理することも品質管理業務の一つです。

 

4.安全管理

工事現場における作業員の安全確保のため、必要な整備や環境を整える業務です。設備の整備(使用機材の点検や消火器・手すりの設置など)、作業員への安全教育(ヒヤリハット)、作業員の健康管理、安全パトロールなどが含まれます。

 

施工管理の主な転職先としては、ゼネコン(総合建設会社)、サブコン(専門建設会社)、ハウスメーカー、土木工事を行うインフラ企業やプラント、機材メーカーなどの幅広い業界・企業が挙げられます。

また、しばしば施工管理は現場監督と混同されることがありますが、これらは仕事内容や資格の有無で区別されます。施工管理は工事現場の施工や予算、安全面に加え、書類作成や役所への手続きなどの工事に関わる全てのことを管理しますが、現場監督は主に工事現場における作業員への指示や工事の進捗などの工事現場の管理を主に担当します。

 

施工管理として働くメリット

ここからは、施工管理として働く主なメリットをご紹介します。

 

将来性があり、転職しやすい

国土交通省が発表した「社会資本の老朽化の現状と将来」では、1980年代に建設された建物の老朽化が進んでいるとして問題視されています。この発表では、建設されてから50年経過した建物は改修が必要とされており、今後施工管理のニーズも爆発的に高まることが予想されます。

また、現在もゼネコンやサブコンの人手不足は大きな課題となっており、施工管理関連の資格や経験を持つ人材の市場価値は高くなっています。そのため、施工管理としてキャリアを築くことで、その後施行管理としてのキャリアアップだけでなく、設計士やデベロッパー、不動産関連職などの施工管理以外の関連職種への転職のチャンスも大いに期待できるでしょう。

 

IT技術による業務の効率化が進められている

従来はアナログ環境の中で業務を進めなければならなかった建設業ですが、DX(デジタル・トランスフォーメーション)により、施工管理の現場も効率的に業務を進められるようになっています。例えば、施工の進捗管理においてもANDPADPhotoructionなどを代表とするデジタルツールが導入され、多くの企業では業務系ICTツールの活用も進んでいます。きつい職業であると思われることも多かった施工管理ですが、これらのIT技術の導入により、業務負担が大きく軽減され、働き方の改善にもつながっています。

 

未経験でも挑戦することができ、安定して働き続けられる

従来は入社後すぐに現場に出されることの多かった施工管理ですが、近年では早期離職を防ぐために研修制度や面談制度などの定着支援制度を整え、働きやすい環境づくりへ取り組む企業が増えています。また長時間労働や残業、休日出勤が当たり前とされていた労働環境も働き方改革によって改善が進んでおり、長期的なキャリアを築くことができる職種となっています。

また、建設や土木業界に代表される生活基盤を担う仕事は常に需要があるため景気に左右されることが少なく、仕事の安定性という観点でも魅力的です。

 

女性でも活躍できる

近年、施工管理の関連の資格取得者において女性の割合が増えています。例えば、2019年度の建設施工管理技術検定実地試験1級、管工事施工管理技術検定実地試験2級では、女性の合格者が過去最多を記録しました。女性が安心して働くことのできるよう環境づくりに力を入れている企業が多く、男性ばかりであるという建設業の認識も変わりつつあります。

 

施工管理で役立つスキルや資格とは?

施工管理への転職を検討している場合、まず必要なスキルや資格を確認する必要があります。以下、施工管理へのキャリアアップに役立つスキルと資格について解説します。

 

施工管理に必要なスキル

  • コミュニケーション能力

施工管理は、発注者のクライアントや職人、作業員との打ち合わせなど、さまざまな場面でコミュニケーション能力が必要となる職業です。特にベテランの職人に信頼されるためには自分の意見を的確に伝え納得してもらうための交渉スキルなども試されます。強いコミュニケーション能力を持ち、これらの交渉を有利に進めることができれば、将来的なキャリアアップにも役立つこととなるでしょう。

 

  • 的確な状況判断能力

施工管理は現場責任者として状況に応じて判断して指示を出す役割であるため、的確な判断力を持ち、急なトラブルにも冷静に対処できる力を持つ人が求められます。

 

  • リーダーシップ

多くの利害関係者をまとめる必要のある職種であるため、相手の立場を尊重しつつも物怖じせずリードすることのできる強いリーダーシップを発揮できる人が重宝されます。

 

施工管理に必要な資格

施工管理関連の資格は、建設業別に7種類に分かれており、どれも国家資格として年に一度試験が開催されています。施工管理の仕事をする上で資格の取得は必須ではありませんが、資格を取ることにより法律で工事現場に置かなければならないと定められている専門技術者や主任技術者、監理技術者としての役割を担うことができるため、施工管理の仕事でキャリアアップしていきたい場合は取得しておくべきと言えます。

 

 

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施工管理の年収

施工管理の年収は建設業の他の職種と比べて高いと言われていますが、実際に全世代における平均年収は約550万円前後となっています。ただし、世代ごとに見てみると20代では約437万円である一方、50代では約850万円となっており、経験を積みスキルアップし続けることで大幅な収入アップが期待できる職種であると言えます。以下の給与調査では、施工管理の年収の詳細をご覧いただけます。ダウンロードは無料ですので、是非ご活用ください。

 

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施工管理はきついって本当?

インターネット上で施工管理について検索すると、「施工管理はきつい」などといったコメントを見かけるかもしれません。施工管理がきついと言われる理由には、残業の多さ、休日出勤の多さ、体力的な辛さなどが挙げられます。ただし、前述の通り、近年では国による建設業界における働き方改革が進められており、2024年からは時間外労働の罰金付き上限規制が適用されることが決定しました。

また、日本建設業連合会の調査では、約80%の企業で「書類の削減」と「施工管理の効率化」が実施されているという結果となり、70%以上の企業で「アクションプランなど、実行計画の策定」が行われているという結果となっています。このように、施工管理のきつさに不安を抱いている方は、働き方改革を推進している企業を転職先として選択すること、リフォームや改修工事案件がメインの企業を転職先として選択すること、もしくはどのような発注者と取引しているかにによって転職先を選択することで残業や休日出勤、体力的なきつさを避けることができます。

働き方改革を推進している企業としては、大手・準大手ゼネコン企業が挙げられます。規模の大きな企業は行政からの指導が入りやすく、ひと現場あたりの施工管理の人数を増やして個々の業務負荷を減らす取り組みが既に進められています。また、日本建設産業職員労働組合協議会による調査では、マンションデベロッパーや国土交通省の案件と独立行政法人の案件では、残業時間に月平均10時間の差が出ていることが明らかになりました。

このように、転職先の企業を選ぶ際にはその企業がどのような発注者との関係が深いかを意識して調べるようにしましょう。また、リフォームや改修工事案件では発注者からの直請け案件も存在する場合があり、こういった場合では、発注者と直接交渉してスケジュール等の調整を行うことも出来るでしょう。

 

施工管理|まとめ

以上、施工管理の具体的な仕事内容や施工管理として働くメリット、必要なスキルや資格について解説しました。記事内でご紹介したように、施工管理は将来性が高く転職のしやすい、建設関連の職種の中でも今おすすめの職種の一つとなっています。特に再生可能エネルギー発電事業に関わる施工管理は、今後更なる成長が期待されると同時に、サステイナブルな未来の実現に貢献出来、より大きなやりがいを感じることが出来ます。

今後再生可能エネルギー業界における建設関連案件への転職をお考えの方は、以下のフォームより当社のコンサルタントへ是非お気軽にお問い合わせいただくか、こちらの登録ページより当社サービスへご登録ください。再生可能エネルギー業界に特化した転職サポートを行うコンサルタントが皆様のキャリアを加速させるためのお手伝いをいたします。

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