洋上風力発電(オフショア風力発電)関連職の仕事内容や採用動向は?当社コンサルタントが解説

ヨーロッパをはじめとして世界的に導入と普及が進む風力発電。従来は陸上にタービンを設置する風力発電(オンショア)が主流でしたが、近年では海洋上で発電を行う洋上風力発電(オフショア)が増えています。再生可能エネルギー業界で働くプロフェッショナルの中では次の転職先として検討している方もいるかもしれませんが、日本国内で新しい分野でもあることもあり、現状仕事内容や必要なスキルなどの情報が手に入りにくいかもしれません。
今回は、当社にて再生可能エネルギー業界、特に洋上風力発電の採用と転職のサポートを専門で行うハツルシンハ・シテイラ・ディーラカに、洋上風力発電関連職の種類や採用動向などについてのお話を聞きました。
[目次]

再生可能エネルギーの種類、日本の現状と課題
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洋上風力発電が注目されている理由とは?
脱炭素社会に向け、様々な方面で伸びしろが期待される再生可能エネルギー業界ですが、近年ではその中でもとりわけ洋上風力発電分野の今後の市場の拡大に注目が集まっています。この背景には、秋田港・能代港の港湾区域における洋上風力発電は年内に商業運転を開始する予定となっていることや、秋田県と隣接する青森県や山形県、新潟県の海域も「有望区域」に選定されていることなどが挙げられています。法整備に関しても、2019年に再エネ海域利用法が施行されるなど徐々に進められており、国全体での洋上風力発電事業に対する前向きな姿勢が見られます。
洋上風力発電が既に広く普及している欧州では、再生可能エネルギーの中でも最もポテンシャルが高い電源として洋上風力発電が期待されており、欧州風力協会の調査によると、英国、ドイツ、デンマーク、オランダ、ベルギーを筆頭に、欧州全体での洋上風力による発電容量はここ2年で約1.4倍の伸びを見せています。大規模な事業であるため投資効率も良く、将来性も高いため、再生可能エネルギーの他の分野をけん引してきた日本企業の洋上風力発電事業への参画余地もあると言えます。
洋上風力発電プロジェクトに関わる職種
洋上風力発電プロジェクトは、大きく分けてコンストラクション前と後の二つのフェーズに分けることができ、それぞれの段階によって必要な職種が大きく異なります。2022年10月現在、採用が活発に行われているコンストラクション前の事業計画フェーズに必要なポジションとして、主に以下の7つのカテゴリに分類することができます。
- プロキュアメント
- 入札担当
- コマーシャル・マネージャー
- ファイナンス
- エンジニア
- プロジェクト・マネージャー
- 事業開発担当者
建設は2025~2026年までかかることが見込まれており、事業企画のフェーズが終わる前後では、労働環境や環境へのリスクマネジャーを行うEHS(Environmental Health and Safety Management)やEIA(Environmental Impact Assessment)などの採用も活発に行われることが予想されます。
ここからは、現在採用が行われている上記の7つの分野にフォーカスを当て、必要なスキルや経験について解説します。
洋上風力発電への転職で求められるスキル・採用動向
「洋上風力発電分野への転職は、業界未経験からでも可能ですが、応募するポジションによって基本的には関連したスキルや経験を求められます。また、特にどの職種においても日本語が必須で、日本語と英語のバイリンガル人材の採用が盛んに行われています」と、ディーラカは述べます。以下、前述した7つの分野におけるポジションで必要なスキルや経験、採用動向について解説します。
ファイナンス関連
再生可能エネルギー業界の中でも、国における洋上風力発電プロジェクトへの投資額は特に高いため、ファイナンス関連のポジションは非常に重要な役割を担います。ファイナンスアナリストやファイナンスモデリングエキスパートの採用が活発に行われており、これらに関連したスキルや経験を持つ人材が重宝されます。また、サプライメントチェーンマッピングやセールスデベロップメントに関する経験を持つ人材も採用の際に優遇されます。
エンジニア
エンジニアに関しては、シビルエンジニア(土木系エンジニア)、メカニカルエンジニア(機械系エンジニア)、エレクトリカルエンジニア(電気系エンジニア)の三つの職種で需要が見られます。再生可能エネルギー業界でのエンジニア経験がない場合でも転職は可能ですが、テクニカルな技術だけでなく、コミュニケーション能力や交渉力、プレゼンテーションスキルなどのソフトスキルも重要視される点に注意が必要です。これは、プロジェクトを始めるにあたり、外部(地域のコミュニティ)とのやり取りや交渉を行うことになるためで、これらの能力が高い人材が積極的に採用されています。
また、テクニカル面においては、テクニカルドキュメントが作成できる人材や、セールスデベロップメントの経験がある人材、プロジェクトマネジメントができる人材への需要が高く見られます。また、シビルエンジニアリングなどの職種では特にマリンエンジニアリングの経験を持っていると転職に有利に働く可能性があります。
プロキュアメント(調達担当者)
プロキュアメントとは、業務に必要な人員や資材等を調達・購買することを指し、洋上風力発電プロジェクトでも、プロジェクトで必要な機材を調達するためのプロキュアメントチームは非常に重要な役割を果たします。プロキュアメントの経験が必要ですが、特にマリコンプロキュアメントの経験があると採用の際にプラスとなります。
入札担当
洋上風力発電プロジェクトの公募に参加するため、企業は入札人員を確保する必要があります。基本的に洋上風力発電における入札担当は、再生可能エネルギー業界での入札業務経験が必須となります。
コマーシャル・マネージャー
コマーシャル関連の職種では、基本的に再生可能エネルギー業界でのコマーシャル・マネージャーの経験があり、業界に精通している方が優先的に採用される傾向にあります。また、再生可能エネルギー業界でのシニアマネージャーの経験がある方も転職の際にプラスとなります。
プロジェクトマネージャー
風力発電所の地質や鉄骨構造などの基本設計、輸送、建設計画などを統括する役割を持つのがプロジェクトマネージャーです。一つのプロジェクトを一貫して担当し、風力発電所の建設に関わるEPCコントラクターの適性を商業的、そして技術的に比較・検討・評価し、サプライヤー選定の際の判断材料にします。再生可能エネルギー業界におけるプロジェクトマネジメントの経験が求められます。
事業開発担当者
洋上風力発電は初期投資が非常に高額なため、最適なビジネスパートナー候補を見つけることが非常に重要です。事業開発担当者は、多くのステークホルダーと交渉し、プロジェクトに賛同してもらえるようマネージメントする役割を果たします。基本的に、再生可能エネルギー業界における事業開発の経験が求められます。
洋上風力発電関連職の平均給与は?
洋上風力発電に関する職種の平均年収は、それぞれの職種によって異なります。以下のガイドでは、当社が行った調査に基づいた各職種における年収相場をご紹介しております。ダウンロードは無料ですので、是非ご活用ください。

【2022年版】給与水準ガイド
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洋上風力発電関連職への転職をお考えですか?
国全体における後押しもあり、大きな伸びしろが期待される洋上風力発電分野。今後更なる成長や需要の高まりが予想されるこの領域においてキャリアアップをお考えでしたら、業界に精通した転職エージェントに、まずは相談してみることをおすすめします。
Progressive Recruitmentは世界各国で再生可能エネルギー業界をはじめとした環境に関わる仕事を積極的に募集している企業と深い関係を築いており、当領域の採用や転職において深い知見を有しています。外資系を中心に再生可能エネルギー関連企業やメーカーなど幅広いネットワークを活かし、日本でのビジネス拡大を目指す企業様と高いスキルを持った優秀な人材を繋ぐお手伝いをいたします。特に洋上風力発電に関する求人も多く扱っておりますので、ご興味がございましたら、最新の求人を以下からご覧いただくかページ下部のフォームよりお気軽にお問い合わせください。