インフラ業界での転職 ‐ 今後成長が期待できる分野と職種とは?

「事業に安定性がある」「残業が少ない」などの理由から就職先や転職先として人気を集めているインフラ業界。インフラ業界での多くの職種においては、近年より一層若手人材不足に悩まされており、採用活動が活発化しています。
今回の記事では、インフラ業界における4つの分野とその将来性、今後成長が期待されるインフラ業界における職種、そしてインフラ業界の年収や将来性について詳しく解説します。
[目次]
インフラ業界へ転職するメリットとは?
インフラとは、Infrastructure(インフラストラクチャー)の略で、鉄道、道路、上下水道、電気、電話網、通信網、エネルギーなどの、私たちの生活や産業の基盤となるものが含まれます。
インフラ業界へ転職する主なメリットとしては、以下の5つが挙げられます。
- メリット①:業界が安定している
- メリット②:ワークライフバランスが取りやすい
- メリット③:福利厚生が充実している企業が多い
- メリット④:やりがいを感じられる
- メリット⑤:年収が高い企業が多い(記事後半で詳しくご紹介しています)
インフラ業界は景気に左右されないこと、そして行政と連携している事業が多いことから、仕事がなくなる心配も少ない安定感のある業界です。また、残業が少なく私生活とのバランスが取りやすい、住宅手当や扶養手当などの福利厚生が充実している企業が多いという、ワークライフバランスを保ちたい方にとって魅力的な部分も持っています。これに加え、職種によっては自分が提供するサービスを目の辺りにすることができ、社会の役に立っているというやりがいも感じられます。
インフラ企業の種類
インフラ企業は主に、交通系インフラ、エネルギーインフラ、空間インフラ、生活インフラの4つのカテゴリに分類できます。以下、それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.交通インフラ
鉄道やバス、航空機などの公共交通機関や道路、トンネル、橋梁などが含まれます。公共交通機関系は主に旧国鉄などの老舗企業がほぼ市場を独占している傾向にあります。少子高齢化を受けて、公共交通機関の利用者減少が懸念されますが、このような状況を打開すべく事業の多角化を進める企業も多く見られます(鉄道会社の駅ナカ開発などが一例として挙げられます)。
2. エネルギーインフラ
エネルギーインフラ業界は電気、ガス、石油、再生可能エネルギーなどが含まれ、燃料の調達から発電、ガスの供給に携わります。特に国民の生活に密に関わることになるため、安定性のある企業が多い分野です。

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記事を読む地域ごとに供給を担う企業が存在しており、独占的にビジネスを行ってきましたが、2016年のエネルギー自由化を受け、現在では異業種からもビジネスに参入しやすい業界となっています。また、近年では環境意識の高まりとともに再生可能エネルギー普及活動や使用するエネルギーを全て再生可能エネルギーに置き換えるというRE100宣言などの取り組みが活発となっており、このような事業や取り組みに携わりたいという方にもおすすめの分野です。

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記事を読む3.空間インフラ
主に公共施設の管理と湾岸施設の管理に分けられます(寺社仏閣などの文化財や文化遺産に指定されている建造物については、別途観光インフラとして区分されています)。公共施設のバリアフリー化から音声ガイダンスによる誘導や解説のサービスまで、幅広い業務に関わることになります。職種が幅広いことから、こちらも安定して仕事を得られる分野と言えます。また、対応するべき課題も多く、簡単に解決できるものばかりでないからこそ、それだけに大きなやりがいを持って仕事が出来る業界であると言えるでしょう。
4.生活インフラ
ゴミ処理場や下水道、インターネットや電話などの通信系、テレビ・ラジオなどの放送系が含まれます。スマートフォンの普及により快適な通信環境を確保するため、通信インフラはハードウェアやソフトウェア、インターネットなどを扱うためITインフラとも呼ばれており、あらゆる業界においてニーズが高まっている将来有望な分野です。その分、新興勢力が多く競争も更に激化することが見込まれます。
インフラ業界の具体的な職種
ここからは、インフラ業界に関わる職種の中で、今後成長が期待できる職種に関してご紹介します。
電気工事士
電気工事士は、一般住宅からエネルギー施設など、あらゆる電気施設の設計や施工を担当する技術者です。建物に電気配線や配電線の据え付けを行ったり、新たな電気施設を追加したりと、他の建物と連携しながら作業を進めます。
「電気保安人材の将来的な確保に向けた検討について」では、高齢者の退職および入職者の不足による電気工事士の人材不足の懸念が指摘されています。その一方、電気工事士の需要は安定しており、将来性がある職種であると言えます。
インフラメンテナンス
インフラメンテナンス(維持管理)の職種では、インフラの機能を良好に維持するため、日常的、定期的に点検およびメンテナンスを行います。建設業における施工管理者などのポジションが含まれ、インフラ関連の業務も担当しています。寿命を迎えるインフラの増加と共にインフラメンテナンスの需要が今後一層高まることが懸念されており、インフラメンテナンスの求人はこの先も安定しているでしょう。
フィールドサービスエンジニア
インフラ業界の各分野における設置、軽工事、検査、メンテナンス、修理業務などの、プロジェクトの技術面をサポートする職種です。フィールドサービスエンジニアは「キャリアパスの入口」とも言われており、トラブルを的確に把握し適切に対応するための、初級レベルの技術力とコミュニケーション能力を磨く機会に恵まれている職種です。
建設マネジメント
建設マネジメントとは、スケジュールやコスト、品質、情報、安全、人員などを管理する職種を指します。案件の企画、設計、発注、施工、引き落としなど、各段階においてこれらの管理を行い、企業の求める品質基準を満たしつつ、納期までにインフラ施設の建設が終えられるよう、プロジェクトの管理を行います。前述の職種と同様、若手人材の不足が深刻であり、インフラ業界においても人材育成と採用に力を入れている分野です。
インフラ業界の平均年収は?
インフラ業界での平均年収は分野や業種により大きく異なりますが、ここではいくつかの分野における企業の平均年収例(2021年度)を、有価証券報告書に基づきご紹介します。
- エネルギー業界(コスモエネルギーホールディングスなど)
- ガス業界(東京ガス、大阪ガスなど)
- K&Oエナジーグループ・・・741万円
- 静岡ガス・・・681万円
- TOKAIホールディングス・・・668万円
- 東京ガス・・・695万円
- 大阪ガス・・・653万円
- 物流業界(ヤマトホールディングス、SGホールディングス、日本郵政、日本郵船など)
- 日本郵船・・・1082万円
- ヤマトホールディングス・・・1019万円
- 日本郵政・・・788万円
2022年 給与水準調査:当社がまとめた最新の給与調査では、2021年におけるインフラ業界における各ポジションの給与水準をまとめています。詳しくはダウンロードしてご覧くださいませ。
インフラ業界 転職に関するFAQ
ここからは、インフラ業界での転職に関してよくある質問と回答をご紹介します。
インフラ業界への転職は文系からでも可能?
インフラ業界は、理系の分野に関わる職種からの転職が多いのは事実ですが、実は文系出身の人も多く活躍している業界でもあります。基本的に基礎設計や開発関係などでは理系が重宝される傾向にありますが、インフラの運用や保守業務についてはしっかりとしたマニュアルがあるため、文系の人でも研修などにより十分に学ぶことができます。現場仕事の多くは文系出身になっています。
インフラ業界の今後は?
インフラ業界は官民連携の事業が中心であり、市場規模が大きいかつ基本的に需要がなくなることがないため、安定している業界と言えます。ただ、人口減少に伴う変化(交通サービスの縮小など)は業界の課題となっており、課題対処のための対応が求められます。また、電気やガス業界では、各社の競争が激化することが予想されています。
インフラ業界におけるその他の動向としては、以下が挙げられます。
- 海外展開:国内においては少子高齢化・人口減少のため市場拡大の困難であることから、今後は新興国など海外への事業展開も強化されることが考えられます。国外で働きたいとお考えの方にも、おすすめの業界となるでしょう。
- IT変革:国内での人手不足もインフラ業界の課題の一つとなっており、今後はAIやロボットの活用が進むことも予想されます。電車の自動運転や駅・空港の無人化などもしばしば見られるようになりました。
- CO2を減らすための取り組み:世界的に注目が集まっているESGの影響で、電気・ガス・石油の分野においてはCO2を減らすための新たなエネルギー開発に取り組む企業が、今後さらに増加することが考えられ、ESGやサステイナビリティに貢献できるキャリアパスをお探しの方にとって注目の業界となるでしょう。
インフラ業界 転職|まとめ
前述の通り、様々な課題や変化が見られるインフラ企業ですが、やはりこの業界に転職するメリットである安定感や、ライフバランスが取りやすい環境は非常に魅力的な点でもあり、そのために就職や転職を考える人が多く見られます。
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