環境にかかわる仕事がしたい ‐ 就職先の選択肢は?【2022年版】

4月22日は「アースデイ」、国連の定める国際デーの一つで、地球の環境について考え行動する日でした。地球温暖化や自然破壊などの環境問題を解決に導こうとする人々は世界中におり、様々な職業に就いています。ただ、環境に関わる仕事と言っても非常に幅広く、どのようなアプローチで自然に関わりたいかにより、全く異なる業界・分野への転職が可能となります。今回は、Business Insiderが行う「年収・需要の高い環境に関わる仕事ランキング」の2022年版をもとに、雇用増加率が高く急成長している環境保全関連の職業をご紹介します。
2022年注目の環境に関わる仕事【6選】
環境に関わる仕事には高額の収入を得られるものも多くあります。例えば、Business Insiderによると、大気科学者や地球科学者の平均年収は9万ドル(約1170万円)以上で、建設マネージャーは9万8890ドル(約1280万円)となっています。再生可能エネルギー企業のソフトウェア開発者はより高額の給料を稼げることもあります。今回紹介する6つの職業はすべて、BLS(Bureau of Labor Statistics)が発表した全米の中央値3万8640ドル(約503万円)を上回る平均年収が期待できます。以下、環境に関わる仕事の中でも最も急成長している6つの職種を、雇用増加率をもとにランキング形式でご紹介します。
6位:工業エンジニア(機械系エンジニア)(2020~2030年までの推測雇用増加率13.7%)
平均年収:約491万円
分野:研究・設計、コンサルティング業務
まず間接的に環境に関わることのできる職種に、工業エンジニアがあります。工業エンジニアは主に機械製作を担当するため、「ものづくりエンジニア」「機械設計者」などとも呼ばれています。自社や他社の工場や施設、設備に必要とされている機会及び設備の提案・計画・改造・設計・製作・調達・運用・管理など、工業エンジニアには様々な種類の仕事があります。
機械系エンジニアは広範囲で活躍していますが、ハイブリッドカーや電気自動車の開発・普及に伴い、自動車関係の工業エンジニアの需要が今後より一層高まることが予想されています。
工業エンジニアになるには
工業エンジニアは機械工学に関する高度な知識が必要になる専門性の高い仕事です。機械と一言で言っても様々な種類や分野があり。それぞれに特化した知識が必要となるでしょう。そのため、「機械設計技術者試験」「CAD利用技術者試験」「機械・プラント製図技能検定」「技術師」などの資格を取得することがおすすめされています。未経験の場合でも、これらの資格を取ることで転職の際に有利に働く可能性があるでしょう。その他にも、機械やソフトウエアに関する知識、法規の知識やコミュニケーション能力、マネジメント能力などが、機械系エンジニアに求められるスキルとして挙げられます。
5位:産業機械整備士(2020~2030年までの推測雇用増加率21.3%)
平均年収:約770万円
分野:製造業
産業機械整備士(産業車両整備技能士)とは、産業現場で使用されるフォークリフトやシャベルカー、無人搬送車などの大重量の部品を扱う産業車両の整備を行う職種です。重機メーカーなどに就職し、産業車両を使用している自動車メーカー、物流会社、食品メーカーなどの工場や倉庫、発送センターなどの各現場で修理・メンテナンスの仕事を行う中で間接的に環境に関わることが出来ます。車や機械いじりが好きで、体力と集中力に自信がある人に特に向いている仕事です。
産業機械整備士になるには
産業機械整備士になるために必要な資格というものはありませんが、産業機械の整備に関する技能を認定する国家資格として産業車両整備技能士が挙げられます。産業車両整備の仕事は少しでも気を抜くと重大な事故につながることもあるため、安全な労働環境維持のための重要な役割を果たしています。一級と二級があり、一級はやはりある程度の難しさはありますが、取得することで監督責任者として働くことができ、キャリアアップに有利に働きます。
産業車両整備技能士は実務を積んでから資格取得を目指すことが一般的ですので、就職の際に取得している必要はありませんが、持っていた場合は収入が高めの設定となることが期待できます。
4位:ソフトウエアエンジニア(2020~2030年までの推測雇用増加率21.3%)
平均年収:約569万円
分野:研究・設計・コンサルティング業務
一般的にソフトウエアエンジニアは、医療、産業、軍事、通信、航空宇宙、ビジネス、科学、などに関連したコンピュータアプリケーション用のオペレーティングシステムレベルのソフトウェアや、コンパイラ、ネットワーク配信ソフトウェアの研究、設計・開発、およびテストを行います。最近では、環境にやさしい商品を購入するとポイントが貯まったり、SNSで世界中の人々と繋がって一緒にゴミ拾いに参加出来たり、と楽しみながら環境に良いことができるアプリが多く見られます。このようなアプリケーション・ソフトウェアの開発に携わることで、間接的に環境に良い影響を与えることが可能です。
ソフトウエアエンジニアになるには
ソフトウエアエンジニアになるために必要なスキルとして、コミュニケーション能力、プログラミングスキル、開発言語の知識、媒体に対する知識、そして、最新の業界動向への深い関心といったものが挙げられます。プログラミングに必要な開発言語を選択し、プログラミングするスキル、OSに関する知識はもちろんのこと、打ち合わせやヒアリングをスムーズに行えるコミュニケーション能力や、日々進化するIT業界の動向をモニタリングし業務に生かす能力も非常に大切です。
プログラミング未経験の場合、プログラミングスクールに通う、もしくは情報処理技術者試験の資格を取得することでプログラミングスキルを身につけることができます。また、環境保全に関わるということで、その分野での最新の動向やある程度の知識を持っているとなお良いでしょう。
3位:物流業務(2020~2030年までの推測雇用増加率29.5%)
平均年収:約910万円
分野:製造業、研究・設計・コンサルティング業務、運輸業(グリーンエコノミーでの運輸行は物流エンジニア、物流アナリストが含まれます)。
環境に間接的に関わる仕事として物流業務が挙げられます。例えば、一度使われた製品を回収・分解・再利用するにも、物流やパッケージを扱うステップから、消費者と直接もののやり取りをする宅配便などのサポートが必要になります。近年では荷主企業と物流事業者が連携した好事例を表彰する「グリーン物流優良事業者表彰」制度も始まり、環境への負荷を減らし、生産性を向上させる、物流を持続可能にするための企業の取り組みが促されていることが分かります。「グリーンな物流」を生み出すために、「物流アナリスト」や「物流エンジニア」などの人材が必要とされています。
物流エンジニア・物流アナリストになるには
物流エンジニアや物流アナリストに就くために必要な資格はありません。どちらもビジネス上の問題を解決するための問題解決能力や論理的思考が求められており、SQLなどを用いたデータ集計業務の経験なども必須条件とされる場合もあります。また、物流業界に関する知識や経験、データ分析と施策改善の経験やデータ分析ツールの利用経験を持っているとなお良いでしょう。
2位:太陽光発電設備の装置技術師:(2020~2030年までの推測雇用増加率52.1%)
平均年収:約610万円
分野:再生可能エネルギー
太陽光発電における発電設備の装置技術師・電気主任技術者の仕事は、太陽光パネルを含む電気工作物の治安管理業務です。具体的な仕事内容としては、案件にもよるものの、基本的には点検に加え、その点検結果をオーナーに報告すること、絶縁抵抗やテスターだけでなく、太陽光パネルの不具合や以上検知を行うこともあります。その他にも、現地巡回点検業務やトラブルシューティング、発電量測定データの分析、不都合発生時の緊急対応や修理依頼の発注、工事の立会い、雑草除去などの業務を行います。
太陽光発電設備の装置技術師になるには
近年、太陽光発電の中で建設件数の増加が見られるのは特別高圧太陽光(メガソーラー)です。特別高圧発電所では、外部委託が出来ないため、電気主任技術者を採用等する必要があります。近年では、低圧や高圧太陽光発電事業所での電気主任技術者から特別高圧太陽光発電事業所へ転職するというケースが多く見られています。
太陽光発電設備の装置技術者として働くために必要な資格には電気主任技術者の資格が必要ですが、特別高圧太陽光発電事業所への就職・転職を目指す場合、第一種電気主任技術者と第二電気主任技術者のいずれかのみ必要となります。
関連記事:2021年における太陽光発電市場のトレンド ― 今後の動向と今注目の分野・企業とは?
1位:風力発電設備の技術者(2020~2030年までの推測雇用増加率68.2%)
平均年収:約739万円
分野:再生可能エネルギー
世界的な脱炭素の流れの中、今後需要の拡大に伴い、人材確保の必要性が高まることが予測されています。風力発電設備のメンテナンスを行う企業で働き、職場は全国にわたります。風車の大半は山の尾根や丘陵地帯、海岸などに設置されていることから移動時間が長くなります。そのため、メンテナンスの間は一週間から数か月程度、風車の近くで宿泊することが多々あります。近年では陸上の風車の新規設置は徐々に増えていますが、今後は洋上での風力発電(オフショア)が大きく伸びると予想されています。
風力発電の技術者になるには
高校や大学・短大・専門学校等を卒業後、もしくは中途採用で風力発電のメンテナンスを行う企業に就職します。その際に特別な資格や学歴は求められませんが、入社後、労働安全衛生法に基づく「フルハーネス型墜落製紙用器具」の特別教育の受講が必須となります。また、ロープ高所作業を安全に行うために、「ロープ高所作業特別教育」を受講しなければ作業することが認められません。多くの企業では入社後に一定期間の研修を設け、これらをカバーしています。
新卒採用の場合工業高校の工業系、機械系、電気系が多く、入社後は半年ほどの訓練を修了した後、平易な作業から、徐々に高度な作業を任されるようになります。中途採用の場合でも、高所作業をしてきた人は少ないため、新卒者と同様に訓練機関での訓練後、高所作業の資格を取得し、現場に配属されるようになります。ロープ高所作業は登高器で登ることが出来、あまり筋力も必要とされないことから、最近では女性の技術者の方も増えています。
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以上、環境に関わる仕事の中で、世界的に最も急成長している6つの職種をご紹介しました。今回ご紹介した中でも上位に挙がっていた風力発電や太陽光発電などの再生エネルギー業界は、日本国内でも急成長が期待されている領域です。
Progressive Recruitmentは世界各国で再生可能エネルギー業界をはじめとした環境に関わる仕事を積極的に募集している企業と深い関係を築いており、当領域の採用や転職において深い知見を有しています。外資系を中心に再生可能エネルギー関連企業やメーカーなど幅広いネットワークを活かし、日本でのビジネス拡大を目指す企業様と高いスキルを持った優秀な人材を繋ぐお手伝いをいたします。最新の求人を以下からご覧いただくか、ページ下部のフォームよりお気軽にお問い合わせください。