電力業界での転職、現状と考慮すべき6つの点

再生可能エネルギーの普及や電力小売・都市ガス自由化により、企業の新規参入が盛んとなっている電力業界。2021年10月には政府が新たなエネルギー基本企画を決定し、2030年度に再生可能エネルギーの割合を発電量全体の36~38%に引き上げることを決定しました。これに伴い、石炭火力発電から洋上風力発電を中心とした再生可能エネルギー主役交代、そして、電力業界地図のさらなる変化が予想されています。今回は、日本における電力業界の動向と、電力業界の主な職種、そして未経験から電力業界に就職・転職するためのヒントを解説します。

 

電力業界の動向

2016年より電力の小売りが自由化されたこと、そして2020年に発送電分離が実施されたことで、近年、電力会社全体の事業でも大きな変化が見られています。資本力の大きい異業種の大企業が次々と参入してきており、これまで半官半民企業だった電力各社は、激化しはじめた電力市場でどのように生き残るか、より強化された戦略の設計が求められています。採用に関しても、業界外の経験やノウハウを求めるなどの新たな傾向が見られています。

 

電力業界の職種分類

電力業界の職種は、大きく分けて以下のものが挙げられます。

  • 技術、運転設備の管理保守:発電所が安全に稼働しているかどうか、設備が異常なく動いているかなどを点検し、今後も問題が起こらないよう計画を立てる。理系学部出身者はこの部門を経て、他部署へ異動するケースが多い。
  • 営業:家庭や企業に対して、電気を利用する際の契約手続き、電気料金計算、新しい電気設備を設置するための説明や提案。文系の人材が活躍することも多く、その場合、企画職や管理部門などの他の部署へ異動するケースが多い。
  • 送電・変電・配電管理:電力を送る送電所、送られてきた電力の変換をする変電所や、変電所と顧客を結ぶ配電設備の点検を行う。
  • 燃料調達:世界のエネルギー需要や為替動向をもとに、燃料を安定的に仕入れるための手配をする。

 

電力業界は、他業界とは異なり従業員の半数以上がエンジニアという珍しい業界です。発電のプロセスには発電所の設計・建設・発電機の設計などあらゆる分野の技術者が携わることとなり、多くの異なる分野でのエンジニアが必要とされます。日本の高い技術を広めるために海外に進出する企業も多く、発展途上国へのコンサルティングを行う企業も多いため、英語を話せる人材のニーズも高まっています

 

電力業界へ転職するメリット

電力業界は他の業界とは少し違った特殊な業界です。電力は私たちの日々の生活の中にあり続けるものであるからこそ、他の業界と比べ安定しており、採用に関しても同業界・異業界問わず随時募集があります。様々な企業やポジションの中からご自身の求めるキャリア像に応じたものを比較検討できる点は、電力業界へ転職する大きなメリットの一つと言えるでしょう。

未経験での採用にオープンな企業が多く、フォロー体制や教育制度もしっかりと整えられています。また、仕事を続ける中でスキルアップが可能であり、なおかつ収入面でも魅力的と言えます。

 

電力業界での転職のコツ6選

ここからは、業界未経験の方で電力業界に転職をお考えの方に向け、転職を成功させるためのポイントを6つご紹介します。

 

1.関連したスキルを身に着ける

機械、電気・電子、情報工学といった理系の知識や学術経験を持っている場合、発電や送電、変電、配電などの研究や開発、設計などの高度な専門知識が必要となるポジションに役立ちます。これらの知識を持つのは多くの場合理系出身者ですが、営業や接客・販売、品質管理などは文系出身者の割合が高く、電力業界であっても文系出身者が活躍しています。

 

2.応募する前に、業界や企業の研究をしっかりと行う

電力会社といっても企業により特徴や強みは異なります。例えば、関西電力では海外事業に力を入れており、発展途上国に対し大規模な発電事業やコンサル業務を行っています。東京電力ホールディングスでは、2022年4月から水素の生産増減により再生可能エネルギーの出力を調整することを決定するなど、脱炭素化への取り組みを強化しています。それぞれの企業をじっくりと研究し、企業の特徴や強みを深く理解したうえで、応募する企業をじっくり決めるようにしましょう。

 

3.志望動機の書き方を工夫する

電力業界での転職を考えた際、志望動機の書き方にもコツがあります。一番重要なこととしては、エネルギー業界の中で何故電力業界を志望するのかを明確に説明するということです。そして、どの業界でも言えることですが、なぜその電力会社を志望するのかについても言及するようにしましょう。その際には、業界や応募するポジションの仕事内容と絡めて伝えることが出来ればなお説得力が増すでしょう。企業研究をしっかりと行い、企業の特徴や強みなどについても理解しておきましょう。

また、競争の激しい電力業界では、常に優れたサービスを追求し新しいビジネスを考えることが出来る創造力、また、それらを実行できるチャレンジ精神や行動力を持った人材が求められるため、これらの要素をレジュメや面接などでアピールしていくと良いでしょう。

 

4.再生可能エネルギーに関連した案件に応募する

政府および国際情勢の後押しもあり、大きな伸びしろが期待できる業界です。国際的にSDGs(持続可能な開発目標)への取り組みが大きな潮流となっており、業界問わず多くの企業がビジネスのサステイナビリティを模索する中で、再生可能エネルギー業界は今後多くの企業のロールモデルとしてこの動きを率先していく立場にあります。また、電力自由化により以前よりも再生可能エネルギー事業参入へのハードルが下がったことで、再生可能エネルギー関連の事業にとって非常に都合の良いバックグラウンドが整ってきています。Progressive Recruitment でも、世界各国で再生可能エネルギー業界を率先する企業の求人案件を多数取り扱っております。ご興味がございましたら、こちらのページより詳細をご覧くださいませ。

 

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5.40代の転職の場合、専門性をアピールする

電力業界では若手からミドル、ベテランに至るまで採用の需要が落ちることはなく、40代においても業界で活躍できるチャンスが多々あります。40代での電力業界での転職を有利に進めるためにはいくつかコツがありますが、中でも、ご自身の専門性を見つけてアピールすることがポイントとなります。例えば、営業職であれば、長年にわたり一つの業界で営業を担当することだけでは専門性には繋がりませんが、「法人営業としてITソフトウエア業界でSaaSの営業を担当し、年間10社の新規開拓を行ってきた」などの具体性と実績をアピールすることで、採用側にも付加価値を感じさせることができます。

日系企業で営業を担当していた場合、数年ごとに異なる職種に異動することが多いため、専門性が磨きにくいという傾向にあります。レジュメや面接では、ジョブローテーションを経験した上で、現在何ができるのかを具体的にアピールすることができると良いでしょう。例えば、交渉力やリーダーシップなどは、どの業界・職種でも重宝される要素ですし、マネジメント経験がある方は採用でも高評価となります。

 

6.外資系企業に応募する

電力業界における外資系企業の魅力として、資本力があることだけでなく、海外でエネルギー関連のビジネスを行い培ってきたノウハウを持っていることが挙げられます。また、採用動向においても、日系企業と比較して積極的であり、必要な人材であれば高額な待遇で迎え入れることも多々あります。採用の際に英語力を必要としない企業も多いため、英語のスキルに自信がない場合でも、まずは応募してみると良いでしょう。また、その場合には足りない英語力を補うことのできるスキル、たとえばコミュニケーションスキルや利害関係調節スキルなど、その他の強みをアピールするようにしましょう。

 

電力業界でのキャリア形成をお考えですか?

電力の原子力発電所の問題や、火力や風力、水力などの新たな発電方法の模索など、業界全体での動きが大きい電力業界。電力の自由化によって、続々と新たな企業の新規参入も進んでいます。電力業界で優秀な人材をお探しの方、または今後さらなる成長が期待されている当領域でのキャリアアップをお考えの方は、以下のフォームよりお気軽にご相談ください。

また、市場動向やその他のためになる情報についても日々ウェブサイトに投稿しております。LinkedInでフォローいただければ、最新情報をいち早く入手することが可能です。

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