地球に優しい働き方「グリーン・キャリア」とは?

グリーンキャリア

2021年11月にスコットランドのグラスゴーで開催されたCOP26。新興国と先進国で足並みをそろえることが大きな課題とされており、最終的には平均気温の上昇を1.5度に抑えることと石炭火力を段階的に削減することで合意がなされ、以前から大きな争点となっていた「市場メカニズム」、すなわち他国の温室効果ガス削減分を自国の削減分として取引するためのルールが制定されました。

2030年までに持続可能でよりよい世界を目指すための国際目標であるSDGs (Sustainable Development Goal)へ向けた取り組みの数々や、企業のESG(環境、社会、ガバナンス)へのコミットメントが加速する中、個人レベルでも環境に優しい、すなわちグリーンな選択肢を取ることの重要性がこれまで以上に認識されるようになっています。どのような交通手段を使うか、何を買うか、何を食べるか、使用するプラスチックを減らすにはどうしたらいいかといった日々の選択の延長線上として個人のライフスタイルがあり、このライフスタイル、すなわち持続可能な未来に貢献するための生き方の選択肢の一つとして、ヨーロッパ諸国では「グリーン・キャリア」と呼ばれる、地球に優しい仕事や働き方への関心が高まっています。

以下では、地球に優しい働き方や仕事であるグリーン・キャリアおよびグリーン・ジョブとは何か、また未経験や事務系からグリーン・キャリアを築くための方法についてご紹介します。

 

グリーン・キャリアとは?

グリーン・キャリアとは、地球や環境に優しい、すなわち二酸化炭素排出量の削減を通じて環境の保全や保護、またサステナビリティに貢献する、高い専門知識を要する仕事や働き方のことを示します。作業員や技術者を示すブルー・カラー、主に事務系などのオフィスワーカーを示すホワイト・カラーに加えて、これらの仕事に就く人のことをグリーン・カラーと呼ぶこともあります。

仕事は人の生活において大きな割合を占めるものであり、グリーン・キャリアはライフスタイルにおける選択肢の一つともいうことができます。グリーン・キャリアが働き方や個人の選択肢としての意味を持つ一方、地球環境の保全に貢献できる個々の仕事はグリーン・ジョブと呼ばれます。

日本ではまだ馴染みの薄い概念ですが、イギリス政府は2020年11月にGreen Jobs Taskforceを立ち上げ、高度な専門スキルが求められる新たなグリーン・ジョブを、2030年までに25万作り出すことを目標として掲げています。

 

環境に優しい仕事、グリーン・ジョブの代表例

グリーン・ジョブの代表的な職種としては環境アセスメント担当やマネージャーなどが挙げられますが、職種に「環境」という文字が入っている職種に限らず、業界として考えるとよりイメージが湧きやすいかと思います。例えば、おけるCOP26の合意においても石炭火力からの段階的な削減は大きな争点となり、再生可能エネルギーを中心とする代替エネルギーへの投資は非常に優先度の高い取り組みです。そのため、再生可能エネルギー業界における仕事のほとんどがグリーン・ジョブであると言うことができます。

再生可能エネルギー領域、とりわけ今日本で複数のプロジェクトが進んでいる風力発電事業(特にオフショアと呼ばれる洋上風力発電)においては以下の職種の募集が多く見られ、今後グリーン・キャリアを考えている方にとっては絶好のタイミングだということができます。

  • 風力タービンエンジニア
  • 電気系エンジニア
  • 機械系エンジニア
  • 建設エンジニア
  • フィールドサポートエンジニア
  • 開発マネージャー
  • プロジェクトマネージャー
  • 生産管理担当者
  • 調達担当者
  • サプライチェーン担当者
  • ロジスティクスコーディネーター

 

再生可能エネルギー携わる企業の種類については以下の記事で詳しくご紹介しておりますので、ぜひご覧ください。

Link to the previous article

 

未経験から、グリーン・キャリアを築くには?

以上のように代表的なグリーン・ジョブには技術者としての経験やエンジニアリングにおける知識が必須の職種が多い一方で、これらの知識やスキルを持つ人が少ない現状があります。今後国内でプロジェクトの数を増やしていくに際し、これらのスキルギャップを解消する必要があるでしょう。

大学で環境科学や天然資源管理や政策についてのプログラムに参加していたり、環境関連のNGOやNPOにボランティアやインターンとして参加していたりした場合、グリーン・キャリアを築いていくうえで大きなプラスとなり得ます。

Progressive Recruitmentを展開するSThreeのESG部門責任者であるGemma Brannyは「SThreeは、気候変動解決に貢献するソリューションを開発するために、スキルを持った人々を集め、つながりを築く活動を行ってきました。各国政府がネット・ゼロ目標を設定する中で、サスティナブルな世界へ移行していくためには、次世代の人々がグリーン・スキルを身につけ、変化をもたらす準備ができた状態で雇用市場に参入することが必要だと考えています。これこそが真の意味で気候変動に取り組むことができる唯一の方法なのです」と述べています。

日本ではまだ学生の段階でグリーン・スキルを身に着けることのできる大学や専門機関は決して多くありませんが、環境保護団体やNGO、また政府機関などが主催するウェビナーやイベントへの参加を通じてご自身に合った道を探ってみることに加え、思い切って再生可能エネルギー業界に身を置いてみることで見えてくるものもあるかもしれません。

 

事務系にとってのグリーン・キャリアとは?

では、バックグラウンドが営業やマーケティング、事業開発などの場合、皆様にとってグリーン・キャリアとは何を意味するのでしょうか?実際に、職種に関わらず、働く業界次第で環境保全に大きな影響を与えることができます。

例えば、日本における二酸化炭素排出量のうち産業用の運輸(貨物車や社用車、また船舶も含む)および家庭用自家用車での運輸で発生するものは17%とされており、自動車業界は今後二酸化炭素排出量の削減に取り組む余地が大いにある分野です。

現在、新しく開発される自動車の多くはEV(電気自動車)であり、トヨタ自動車を中心に水素自動車の開発に取り組む企業も増えています。自動車業界は非常に裾野の広い業界であるため、トヨタ自動車や日産自動車など、Tier1と呼ばれるOEM(完成車メーカー)を始め、電気自動車の部品を作る部品メーカーなど、様々な形で携わることが可能です。

また自動車の電気化に加えて大きな流れとなっているのが、MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)です。MaaSを活用することでITと公共交通機関をシームレスに結びつけ、その場面場面で最も便利な交通オプションを選ぶことができるようになります。以前は自動車といえば自家用車、すなわち個人レベルでの利用が前提となっていましたが、シェアリングエコノミーの台頭によりカーシェアサービスなどが普及した背景も相まって、自動車もMaaSの一環として公共交通機関のような性質を持つようになってきています。

自動車メーカーの多くが自治体や観光業界との連携を通じて新たなサービスの開発に着手するなど、自動車を作るだけにとどまらない事業展開を進めています。直接的な環境への影響を感じることは難しいかもしれませんが、より高い利便性と環境負荷の削減を両立させるための自家用車からの脱却に携わることで、長期的に未来の交通のあり方の変革を実現させることが可能となるかもしれません。

 

地球の未来に貢献できる仕事をお探しでしたら、Progressive Recruitmentにお任せください。

国際社会や政府、企業、環境保護団体のみならず、消費者からも持続可能な活動に対する要求が高まっており、環境保全やESGへの投資をしていない企業に対する投資家の風当たりも強くなっています。これらの動きによって、グリーン・スキル、すなわち上述のような職種での経験や知識を持つ人材への需要も今後ますます高まっていくことが想定されます。

Progressive Recruitmentでは、皆様のグリーン・キャリアへの入り口となり得る再生可能エネルギー領域や次世代の自動車業界での求人案件を数多く用意しております。当領域での豊富な経験と知識を持ったコンサルタントにぜひご相談ください。以下から無料相談のお申し込みができますので、お気軽にお問い合わせください。

 

 

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